前と後

マンション住戸の二世帯住宅

東戸塚のマンション改修の、上が改修前プラン、下が改修後プラン。この前の記事でも触れたように、もともとの間取りのおかげで、玄関や水まわりの共用部をはさんで、二世帯に振り分けるとができた。

子供スペースの引き戸と、書斎の壁面の本棚とワークスペースは、とりあえず今はなくてもよいということで、予算調整のなかで将来の工事にまわすことになった。

 

クローゼットや収納は、建具を作らず、オープンかカーテンやロールスクリーンの目隠しとなった。

改修前→改修中→改修後。もとのキッチンはわりと大きく、その奥に洗濯機置き場と電気温水器のユーティリティが続いていた。その全体を使ってキッチンを2つに。寸法の合う吊り戸棚だけ残し、壁のタイルも残しながら古い機器を撤去してもらう。むき出しになったところだけ新しいキッチンの白に合わせたタイルを貼って、ツートーンの壁に。

脱衣洗面室の改修前→改修後。当時の宣伝で「ホテルライク」とうたわれたかもしれない大きなL字型の洗面カウンターと収納は、ボリュームがありすぎるので撤去。シンプルな洗面ボウルに、キッチン横から移動して来た洗濯機置き場を入れ、タオル収納などは既製品の収納を置いて、脱衣スペースは改修前より広くした。

間取り図で緑に塗ったほうの居間は、改修前の2室から間仕切りを撤去して1室になった。2室分のドアはまとめて引き違い戸に。自分のキッチンに通じるほうは光を通す建具、共用の玄関に通じるほうは光を通さない建具。

改修前→改修中→改修後(と、午睡を取るもう一組のゲストのおひとり)。妙に立派なオーディオボードと収納のあったLD脇の半端な部屋は、いらないものを取り払って書斎コーナーと子供スペースに区分けした。いまは手持ちの家具を置いて使っていただいている書斎コーナーは、いつの日か壁面いっぱいの作り付けの書棚と書き物のカウンターを設置して、さらに魅力的になる予定です。

廊下の改修前→改修後。廊下は収納を1カ所撤去して壁紙や塗装をきれいにした(そして設備の更新のために床点検口が追加された)だけだから、改修前・後というほどのこともないものの、先日おじゃました際に、つい写真を撮ってしまった。なかなか言葉にしづらいのだけれど、家や建物の空間全体と、人の活動がほどよくかみあって流れていると、廊下や通路みたいな場所がうっすら機嫌が良い、と以前から思っている。改修前は、「トイレ前の廊下」という感じだったのが、改修後は「うちの廊下」という感じがしました、と言ったら身びいきだろうか。


いずれにせよ、じっくり新しい生活のイメージを練り、それにふさわしい場所を見つけ、余分なものを持たず日常を大切にするクライアントの暮らし方あってこその、機嫌の良い廊下だと思っています。