8月末には、家の周りのヤマザクラの葉がかすかに色づきはじめた。秋の気配の早さにぎょっとし、続いて来る冬とその寒さを思って、戦々恐々という気分になった。
9月から10月にかけて樹種ごとに小出しの紅葉がリレー式で続いた。カエデやヤマボウシが少しずつ紅葉し、道に落ちるドングリや栗の実を見て喜ぶうちに、浅間山の上の方から唐松の金色が伝わってくる。
そうこうするうち、後半戦、という感じでケヤキが色づきはじめた。
なるほど赤い紅葉から黄色い紅葉に移って終わるのね、と見ていたら、違った。東京や埼玉で見ていたケヤキは、たしか黄色くなったあとは、茶色く色が褪めて散る感じだったと思う。御代田のケヤキは、黄色のあと、一度オレンジ色に近いところまで色を濃くしてから茶色に褪める。一段階多い。
この頃には、近隣の里山も濃いオレンジ色にそまった。
そして今週、葉がほぼ落ちた周りの林はやたら明るい。これだけ秋が長いと、秋であることに体と気持ちが慣れてきて、そろそろ冬で寒くなってもいいかな、それはそれで楽しいかもな、という冬待望論と言えなくもない気分になってきたから、よくできているものです。とはいえ、御代田の冬の寒さを私はまだ体験していない。