DIYのお手伝い

佐久のオーディオラック
書庫のオーディオラックのできあがり。相変わらずありのままの片付け具合を撮影しております。

昨冬からこの春にかけて、家具のDIYを2件(できあがりの家具の数で言うと3件)お手伝いした。
こちらは、以前にブログで紹介した佐久の住宅(まあ私の実家なんですけど)の書庫の棚。
前に住んでいた家にあった簡単な低い棚をそのまま流用していて、確かにごちゃごちゃしていたが、なぜか昨年に父が一念発起して、オーディオ機器や周辺書籍をきちんと入れられる棚を作りたいから寸法を決めてほしいと言われた。

製作前
制作前の状態。片付け具合はどちらもあれですけど、上の制作後のほうが使いやすそうなのが伝わるでしょうか。

入れるものの寸法をふまえ、ホームセンターで手に入りやすい集成材の厚みを想定し、心もとない父の技術レベルを勘案し、なるべく単純に組み上がるような構成で図面を書いた。
それでも受け桟の位置が図面より前に出て目立っていたり、天板の寸法を微妙に間違えて飛び出ていたりですが、、、大工仕事の得意なご友人方の助力もあって、無事組み上がって物が納まって良かったです。次は奥の書棚も作り替えるんだとか。

オーディオラック
オーディオ機器、CD、レコード、楽譜、料理本。引出しは作ると大変なので無印良品の既製品を利用。
飯山の民家
見学にうかがった飯山の民家。長野の北部、豪雪地帯です。

2件目は、同じ家の居間の棚。

昨年の秋、長野県の北のほう、飯山にある知人のご実家が取り壊しになるというので、築100年はこえる というその住宅の見学にうかがった。長い年月を経た荒床の分厚い板や、大工だったお父上が取り置いていた無垢材が、燃やされてしまうにはあまりにもったい なく、譲り受けてきた。

書庫の棚とあわせて、居間の小物収納の棚も、間に合わせの既製品をやめて作り替えたいという父の希望があった。とはいえ、さすがに古材の扱いは、DIYの技量を超えるのでは、、、と言ったところ、先述の大工仕事の得意なご友人の腕に全面的に頼るから、とにかく図面にしてくれとの返事。そこで飯山から来たおもむきある古材を、正面のフレームと天板、側板に取り込んで作図。助っ人というより、そちらが主役のご友人の主導のもと、バイオリン製作がご趣味のもうおひとかたの丁寧な材の下ごしらえ、そして不安そうに周りをうろうろする父の3人がかりで取り組み、母ご自慢の居間の主役ができあがりました。

居間の棚
天板にブナの無垢板、側面に荒床の杉板を使いました。

そしてこの春、DIYチームのお一人から、オーディオ機器やテレビ関係をまとめる棚を自作したいので、設計してもらえますか、と相談を受けた。

こちらは何につけても、私の両親とは比べ物にならない几帳面で丁寧な取り扱いをされる方のお宅で、さらにその居間の正面。集成材の板を組み合わせたDIYを想定しつつも、受け桟の目隠しの幕板を付けるなど、手間より仕上がりの優先を心がけた。材料も、クライアントご夫妻との相談の結果、ホームセンターの材料ではなく、ナラの集成材で、厚みもどっしりと25mm。今回はパーツの種類も多岐にわたったので、ネット通販で木材カットサービスの発注までをお手伝いした。


オーディオラック
完成したオーディオラック。うかつにも写真が手ぶれ気味で申し訳ありません、、、

さすがバイオリン製作がご趣味だけあって、ねじが表に出ないように手順を考えられ、エッジのサンドーペーパーがけや、仕上の蜜蝋の塗りが本当に丹念になされ、DIYレベルを超える出来。
設計時に完成形の重さを計算したら80kgをこえ、男性3人がかりなので何とかなると言われたものの、なかなか心配でしたが、幸いぎっくり腰の人が出ることもなく仕上がり、ほっとしました。ただし、ご本人は丹念な仕上作業に没頭された結果、しばらく背中の痛みに悩まされたそう。

制作前の様子
制作前の様子
制作後の様子
制作後の様子

完成形を拝見にうかがうと、なんとなく前よりも部屋が広く感じられ、製作の成り行きにやや懐疑的だった奥様から、「作る前はこのままでも問題ないと思っていたけど、できてみると断然落ち着く」と言っていただいた。デザインというにはおこがましいかもしれませんが、そこにないものを想像し、材料と寸法を決め、実現を見るという役割は建物の設計と原則同じ。ささやかなお手伝いながら、ありがたいお仕事でした。