今秋の外食日記

コーディアル
エルダーフラワーのコーディアル、「RKガーデン」で食後に。

御代田に移住してから、外食の回数がだいぶ減った。

 

もともと東京にいるときも、飲みに行くわけでもなし(残念ながらアルコールに弱いので、飲み歩く楽しみはありません)、非日常の外食というよりは、日常の仕事の合間の昼食や夕食の一部としての地味な外食で、回数も特に多いほうではなかったと思う。

 

 

 

 

こちらに来て、車での移動が主になると、歩いている時のように通りすがりのお店の雰囲気をうかがうのは難しく、看板が目について「おやっ」と思った時にはもう通り過ぎている。よく分からないのにわざわざ車を止めるのもおっくうだし、家から歩いて行ける範囲に都合の良いお店がそうそうあるわけでもなく、ま、何か作って食べるか、となることが多い。さらに車だと食材の買い出しが楽なので、家で作れば、その時自分が食べたい食材を好きな味で食べられるし、ローコストだ。

環境が家ごはんに方向付けられてしまえば、それはそれで良くなってしまった。外食するのは、東京から人が遊びに来て出かけるときや、自分が東京に出張したときが多く、あとはごくたまに、わざわざ出かけてでも外で食べたい時だ。

モスバーガー
佐久平駅近くのモスバーガー。温室みたいな建物で、テラス席もあり、なかなかの個性派です。

ところがこの9月は、やたら外食をした。久しぶりにひどい風邪をひいたあと、回復期に入ってものすごくお腹がすいて、ガツンとしたものが食べたいのだが、しつこい咳だけは残っていて苦しいので、油や水にさわって料理をする気になれない。それで、ちょっとした用事をお昼前後に作っては、ついでと称して外でごはんを食べてまわった。上の写真はその初日で、どうしてもハンバーガーが食べたくて、11時半頃に佐久平のモスバーガーへ。久しぶりに食べたモスのポテトやオニオンリングなどの揚げ物がうれしくて、でも全然足りない。そのあと用事を済ませても飢餓感がおさまらず、14時くらいの閑散とした道の駅で「おろし唐揚げ定食」をたいらげた。自分でも怖かったです。

デミグラスハンバーグ
トラットリア・トーマスのきこり風デミグラスハンバーグ

別の日には、空腹感のあまり、通りすがりによく看板を見ていた御代田のお店「トーマス」をフラッシュバック的に思い出し、そもそも営業しているお店なのかネットで確認(失礼なようですが、駐車場や店内が道から見えないと本当にわからないのです)。落ち着いた洋食屋さんらしいと知り、昼食に出かけた。家族経営の雰囲気だが、町の洋食屋さんというよりはもう少し「レストラン」。一見地味な感じのサラダのレタスの切れ味と、酸味のきいたドレッシングのかかり具合に、「レストラン」の自負を感じました。「きこり風デミグラスハンバーグ」のランチセットに、コーンポタージュを追加(飢餓感により)して1500円くらい。

余計なお世話ながら、浅間山を正面に、レタス畑の広がる素晴らしいロケーションにゆったり建っているのに、もっちょっと建物のプランがどうにかならなかったか、、、本当に余計なお世話ですが、、。室内も目を引く薪ストーブの後ろにトイレのドアが見えたりしてもったいない、、私ならどうしようかな、、、とぶつぶつ考えながら食事。(↓写真はクリックすると拡大します)

さらに別の、気温が下がり気味の日、19時に打ち合わせがあって、エネルギー切れが心配で買い物ついでに先に夕食を食べておくことにした。しなの鉄道の線路沿いにある「まほろば」へ。こちらはまさに町の洋食屋さんで、何度かお昼に来ている。ずーっとBGMにビートルズが流れていて、ほとんど知っている曲だけどたまに聞きなれない曲があって、こんな曲もあったっけと思わず集中して聴いてしまう。金曜のディナータイム、お昼時には出てこなかった布のランチョンマットをマダムに敷いていただいたあげく、チキンとキノコのグラタン(サラダ付き)700円のこじんまりした注文をして、内心恐縮する。おかげさまで温まって打ち合わせに向かえました。

グラタン
「まほろば」のグラタン

9月の最後の連休に長野で一緒にライブを聴いた帰りに、以前の職場の先輩を家にお泊めした。人が遊びに来ると、のんびりしたくて夕食や朝食もつい家で食べてしまうのだが、このときはまだ私の咳も残っていたし、彼女が昼の新幹線で帰る予定だったので、朝食から旅先気分を味わおうと外に出た。前から気になっていたが、やはりおっくうで入っていなかった、追分のRKガーデンというカフェへ。

RKガーデン
「RKガーデン」店内。不覚にも傾いた手ブレ写真。雨で暗かったから、、、

花の苗や植木を売っている花屋さんの中にあり、ガラスの屋根を軽くかけただけの半屋外。ビーガンの料理を出す、緑でいっぱいのまさに「素敵カフェ」です。台風の影響で雨がどっと降ったり止んだりで、その光の変化が楽しい。じゃんじゃん雨漏りと吹き込みもしていたが、半野外だからと割り切ればこれでいいんだ、でもなかなか怖くて自分では提案できないね、と同業の先輩としみじみしながら、野菜のだしを感じるミネストローネとタルティーヌ、そして冒頭の写真のコーディアルをゆっくり味わう。

RKガーデン
4種のタルティーヌとミネストローネ。ビーガンなので、全て植物性の料理です。

そうこうするうちに、永遠に止まらない気がした咳も治まり、10月に入り、家での食事も通常営業に。スーパーに行って、これをああして食べてやろうと思いつき、お腹の底からくつくつと喜びがわきあがりながら食材を手に帰る楽しさ。本当に健康はありがたい。

 

外食日記の最後は、唯一の歩いて食事に行けるお店で、ちょっと作業が立て込んで食事が粗雑になって、「今日はきちんと作られたものを食べたい!」という時の避難場所。1、2ヶ月に1回はお昼に行っている「華かざり」。

華かざり
「華かざり」のサラダ。ボリュームたっぷり。
華かざり
「華かざり」のビーフカレー

ここでランチセットを頼むと、まず中皿いっぱいのサラダが出されて、これが生野菜の他に毎回いろんな食感のものがにぎやかに組み合わさっていて本当に楽しい。今回はカボチャとじゃがいものマッシュ、黄色いミニトマトかと思ったら食用ホオズキらしかった(確認しようと思ったけど聞き忘れました)。メインはビーフカレー、オムライス、梅とジャコのピラフの3種で、ほぼローテーションで注文している気がする。ビーフカレーはコクがあって容赦なく辛くて、自分では作れず、たまに無性に食べたくなる味だ。

感じの良い和食器をこういうメニューに組み合わせているのもちょっと変わっていて楽しく、お店の方が丹精している庭の草花や、餌台に来る小鳥を眺めながら、デザートと食後の飲み物でほっとして歩いて仕事に帰る。こんなお店が徒歩圏に1軒あるかないかで、生活はだいぶ違います。

華かざり
この日のデザートは黒ごまのブラマンジェでした
華かざり
「華かざり」の窓。テーブルの花はピンボケですが、庭に焦点を合わせたんです、、、
華かざり
コーヒーは丸山珈琲の豆だそうです。

頻度が減った分、ときどきの外食が楽しくなってもいる。このエリアは、11月や12月に入ると冬季休業のお店も多い。夏の混雑が去って冬が来る前の今のうちに、もう1、2店あたらしく試しておきたい気もする。