たわしを買う

冬の耕作地
空が近い。

12月下旬のある朝、晴れてるけど高いところの雲から落ちてくる雪がちらついて、スキー場みたいでテンション上がるなあ、となんとなく上機嫌になる。もちろん積もりはしない。

、、、のだけれど、用事があって少し離れたエリアの標高1000mをこえる辺りに出かけたら、途中で道が白くなり、耕作地も真っ白。日光の感じも空気の色も、どことなく違ってなんだかダイナミックなので、思わず路肩に車を止めて窓を開けて写真をとる。

 

この写真を撮りたくなる感じってなんだろうなあ、撮ってどうしたいんだ私と思いつつ。まあこうして見返すと、その日の空気感を思い出すには役立ちます。

夏あたりから、台所のたわしが限界を迎えていた。亀の子たわしを二つおいて、中くらいのを野菜などに、小さいのを鍋などに使っていたのだが、少なくとも6年くらい使い続けていて、中くらいのほうはぱらぱら毛が抜けるし、小さい方はつんつるてんにすり減って針金が露出。

以前に立ち寄ったパンと雑貨のお店「わざわざ」で、良さそうなたわしを売っているのを見つけてあって、あそこで買い替えたいと思ってから1ヶ月以上、ようやく12月なかばに出かけるチャンスが来た。

たわし
選手交代したたわし。左がサイザル麻の柔らかめ、右が硬めとやや硬めの2色タイプ。

白っぽくて柔らかいサイザル麻の丸いたわし(形もかわいいです)と、野菜の皮むきもできるくらいの硬めと普通くらいの2色のもの。それぞれ500〜600円で、たわしとしては安くはないけれど、100円くらいで買った先代たわしを何年も使ったので許されよう、しかも職人さんが一つ一つ束ねてることを思えば、と購入。他に、やはりこの夏に限界を迎えたバスタオルも、前にここで見かけていた麻の混ざったタオルに買い換えたいと思い定めており、無事購入。

わざわざ
2階の客席。天井の低い屋根裏、パンを焼く香りに包まれて居心地良し。左隅に入っちゃったのは連れの男子(1歳)。

店内の他の雑貨や食料品のラインナップも楽しく物色し、パンも選んで会計を済ませた後、イートインでコーヒーとトーストを注文。パンを焼く薪窯の熱と香りでふんわり暖かい屋根裏のような二階席でのんびりお茶をした。

 

たわしもタオルも有名なメーカーのものなので、ここにしかないわけではなく、ネットの通販ならもう少し安く買えるだろうし、このお店自身もネット販売をしているから、足を運ばずとも買える。

けれども、この仕事がひと段落したら御牧が原のあのお店にドライブしていって、パンとか他の雑貨も物色しつつ買い替えようと思いついて以来の楽しみと、あのお店のあの棚から買ったんだよなと思い返しながら日々使うこれからの楽しみは、わずかな値段の差や購入の手間の便利さには代えがたい。

あんずジャムバタートースト
ランチプレートを狙っていましたが、この日はお休みだったので、あんずジャムバタートースト。

世の中でよく知られた定番商品でも、個人のお店の人が選んで並べたラインナップのなかから手に取る楽しさは、図書館の五十音順の書架では惹かれない本も、人の家の本棚や、書店の人が工夫して作った棚だと魅力的に見えるのと同じ仕組みだと思う。

まあ限界が来てもだましだまし使えるバスタオルやたわしだったからこそこんな悠長なことをしていられたわけで、切らしたら手も足も出ないような消耗品なら、仕事がひと段落しなくても補充できるネット通販の恩恵にあずかるだろう。

 

わかりやすすぎるエピソードや声高すぎる物語は苦手だが、それでも突きつめれば個別の物語にしか興味がないし、それを除いては他に何も残らないとも思う。

お正月飾り
お正月飾り

そんなことをぶつぶつ思いながら、日々の作業に追われる年の瀬。

ふと気づいたら大家さんがアパートの駐車場の入り口にお正月の飾りを飾ってくれていた。もうすぐ年が明けます。

今年のいろいろに感謝し、来年のいろいろに期待を寄せつつ。