長かった梅雨もときおり晴れ間が出るようになってきて、そうなると何だか山のほうに(普段も結構山のほうだけど)行きたい!行きたい!と思うようになったこの前の土曜日、休日にして、お昼前に高峰高原まで車で上がってみた。
御代田の自宅から30分強。標高差1200m。
けっこういいお天気だと思ったのに、着いてみたら濃霧のなか雨がぱらつく。それでも山の天気だからすぐ変わるかもしれないという期待のもと、ビジターセンターから林道をぶらぶら散歩。
駐車場がいっぱいだったので、あまり人が多かったら引き返す覚悟だったが、みなさんおそらく朝早くからさらに山の上を目指して本気の山歩き中と思われ、駐車場まわりには時折見かける程度しか人がいない。
眺望がきかないのは残念だが、冷涼な空気と霧の水分がのどに心地よく、ウィルスという思いがけない問題にどう向き合っていくのか、日頃もやもや過熱気味の
頭もなんとなくクールダウンできる気がする。
この長い梅雨のあいだ、まだ前半戦の頃、肌寒いけれど「夏が来るのかもしれないぞ」と思わせてくれた日があって、写真を振り返ると6月21日だった。
その日は、梅雨の中にあってめずらしく青空が見えるとともに、浅間山の稜線の森の濃い緑から水分がぶわーっと立ち上がって霧か雲になる様子が感じられて、実際はかなり肌寒かったが、「夏が来つつある」と思った。ところがそこから1ヶ月以上も梅雨が居座ったわけだけれど。
高峰高原のゲレンデの中の林道をぶらぶらしているうちに、さーっと明るくなり、霧が風に乗って流れて行き、周りの峠が見晴らせるようになった。
陽の光がきらきら差し込んで、それに反応するかのように急にトンボがたくさん舞い上がる。
山の天気はやっぱりダイナミックだ。霧の流れを見ているうちに、6月に浅間山の写真を撮った時の感じを思い出した。あの時見上げたような雲や霧の立ち上る出どころに、今いるんだなあと面白くなる。
散歩を満喫して、駐車場に戻りがてらおそるおそる高峰高原ホテルをのぞいてみたら、おなじくこちらも駐車場は登山客の車でいっぱいだけれど施設内はがらがら。貸切に近いレストランで、普段うろうろしている佐久平を俯瞰でじっくり眺めながら早めの休日お昼に。その間にも黒い雨雲が眼下に降りて来たり消えて行ったり、それに合わせてトンボの群れが隠れたり出たり、飽きることがない。
思わず母に「こんな高いところにいるよ」という写真を送ってみると、梅雨明け宣言が出たわよ、山の上で梅雨明けを迎えたね、と返信が来た。
ごく近場の短いお出かけだったが、降りて来てみたら妙に気分が軽くなっていて、ときに視点をがらっと変えてみるのは爽快なものです。