そしてあっという間に冬だ。
この春から秋は、改修と新築の現場の竣工や、新しい現場の着工準備が重なって、公私ともに周りの皆さんの手を借りまくって、なんとか人間のふりをして暮らしていました。
夏物の衣替えも、やりきったのかどうかよく分からないままに、秋に入ってまた寒くなり、随時セーターなどひっぱりだすうちに冬がきたので、今シーズンこそちゃんと整理しようとじっとクローゼットに佇む12月1日。
家の外はすっかり葉が落ち、さびしいようでいて、やってくる小鳥の数がぐっと増え、これはこれで賑やかで楽しい。天気や気温の具合なのか、鳥が来るときはみんな重なって来るのがおもしろい。おとといの朝は、カケスの夫妻、キツツキの夫妻、オナガの集団、シジュウカラその他が一度に飛来し、見ている方が目移りするような大騒ぎを繰り広げ、そのうち一羽が事務室の窓に激突して抜けた羽を残して行った。
少しさかのぼって9月の終わり、住宅の植栽工事があった。7月末に竣工したお宅で、暑さがひと段落したところで、ひとまず道路側を植栽しましょうということに。本当は春がベストシーズンなのだが、ちょうど圃場に春に仕入れて根を手当てしてある苗木があったので、秋植えが可能ということらしい。2回ほど造園屋さんとクライアントさんと私で樹種など打ち合わせて、この日は、ドウダンツツジやシンボルツリーになるアオハダ、常緑のアセビなどを持ってきてくれた。残りの植栽は、冬を越した来春に。
およそ決めてあった位置に重機で次々と穴を掘り、木を活けていく。大きめの木は、仮に穴に活けてみて、位置や向きを見て、もう少し奥がいいですかね、正面をもう少し回して、など相談しながら調整。朝から始めて、午前のうちに樹木はだいたい形が決まり、あとは客土をしたり、門柱がわりの枕木の工事のみ。
造園屋さんの圃場に折良くあったという、だいぶ育った立派な苗木を用意してくださったこともあり、木を植える前の、「待ち」「仮」風情たっぷりの外観が、2、3時間で一気に様変わりした。
生き物なので、一本一本かたちは色々。それを現場で眺めて、良さそうな塩梅を決める。植えた後も、徐々に成長していくことを想像しながら。
植栽や造園の工事は、早ければ当日、長くても数日から数週間でぐいぐい仕上がる様子が、見ているだけで楽しい。
対して建築工事は、何ヶ月もぐずぐず図面を作って、形ができるまでの工事も何ヶ月もかかって、しかも材料は基本的に内容も位置も事前に決めて予定しなくてはいけなくて、その場でちょいちょいっと位置を変更なんてなかなか無理で、、、
ついつい、いいなあいいなあ、造園工事、、、と言いたくなる。もちろん、造園屋さんにも、造園屋さん固有の大変なことはたくさんあるのでしょうけれども。
いいなあ、と言えば、このお宅の中心にあるついたてのような壁に、左官仕上げを採用させてもらった。調湿性とか消臭性とか機能面のメリットもいろいろあるのだが、できてみたら、まず風合いがとにかく優しい。いいなあ、左官。いまだ仕上げ未完の自宅の壁に、いつの日か左官仕上げできればいいなあ、、、と内心思いながら引き渡し。
そしてもう一つ、いいなあ、と言えば、こちらのお宅は1階建ての平家、リビングを中心にくるっと回れるプランなのですが、私自身も、工事を担当した監督さんも、いいなあ、いいよなあ、平家、、、としみじみ言いながらの引き渡しでした。いろいろなハードルを乗り越えて、軽井沢のお住まいを実現させたクライアントさんが、末長く満喫してくださいますように。