この春に延伸したばかりの「中部横断自動車道」を端(小諸)から端(八千穂高原)まで走って南のほうへ出かけた。
直前まで雨の予報だったのが徐々に改善して、行きの昼下がりは暑いくらいの天気。帰りは夏至の名残で見事な遅い夕焼けのなか戻ってくる。ピンクと水色の空のなかに浮かぶ高架の上の道路を、浅間山を正面に見ながら帰ってくるのはなかなか贅沢な時間だ。この高架のせいで空が見づらくなった人もいるのかもという申し訳ない気持ちもよぎりつつ。
八千穂高原のインターで降りてさらに北相木村へ。去年カラマツ材に関する見学でこのあたりに来た時は、まだ一般道しかなかったこともあってずいぶん遠く感じたのだけれど、いまは御代田から小一時間で着いてしまう。ほそぼそと続けている趣味の楽器演奏で誘っていただいて、北相木村に練習に伺うのはこれで3回目だ。
大学に入ると同時に弾き始めたエレキベースだが、怠け者のせいかみんなほど上手くならず、けれども合奏自体は楽しいしベースが大好きだしで何かしら素人バンドっぽいものを続けながら学生時代が終わった。周りにはプロになれそうに上手い人や、実際プロになる人もいたが、私はあくまで趣味レベルだと初めから終わりまで自覚していて、でも歳を取ってから時々おじさんたちとスタジオに入って適当に遊べるくらいには弾けるようになりたいななんて思っていた。
働き始めてから数年は楽器どころではなかったのだが、少し自分の時間が作れるようになってから、また楽器を弾こうかなという気分になり、かといってバンドがあるわけでもないので一人でレッスンに行ってみたりしてほそぼそ(あるいはぼそぼそ?)再開。
それだけでも結構楽しかったのだが、長野へ来てからは思いがけず合奏の場に誘っていただき、百戦錬磨な感じの上手な方々に混ぜてもらって、ときどき山の中で大きな音を出させてもらったりして、そんな時間は楽しいに決まっている。東京でふと思い立ってベースを再開しておいて良かった。。。普段はつねに仕事や家事に追われて、次にやることばかり考え続けているのだが、曲が始まって楽器を弾いているあいだは、いま弾いている曲のことしか頭にない。他のことを考えると(あるいは考えなくてもしばしば)弾き間違えるし。練習に向かう時は、行ってる場合かななんて迷いがふとよぎるのだが、帰ってくると気分がすっきりして仕事もはかどっていると思います、たぶん。楽器とのこの関係、学生時代に思った理想形に結構近い。仕事があって趣味があるって幸せです。
趣味といえば、趣味という語の用法としては違いますが、知人の方が「まどかさんはピンクとか好みじゃないでしょ」と私の趣味を推測して青系と茶系の小花柄のティッシュケースを作ってくださった。とても素敵で受け取った時点で嬉しかったのだが、いざバッグの常備品に混ぜてみたら、他のものと色合いが見事に統一されていて、お見通しだなと脱帽。ありがとうございます。